給与から天引きされるお金の仕組み

最終更新日: 2026-07-12

給与明細を見て「額面と手取りがこんなに違うのか」と驚いた経験がある人は多いはずです。会社から支払われる金額(額面・総支給額)と、実際に銀行口座に振り込まれる金額(手取り)の差は、主に「社会保険料」と「税金」の2種類です。この記事では、給与から何が・どういう理由で・どれくらい引かれているのかを、順番に整理します。

1. 額面と手取りの違い

額面(総支給額)とは、基本給に残業代や各種手当を加えた、会社があなたに支払う給与の総額です。ここから社会保険料と税金が天引きされた残りが、実際に受け取る「手取り」になります。一般的な会社員の場合、額面のおよそ75〜85%程度が手取りになることが多いですが、年収や扶養状況によって差があります。実際の金額は手取り計算(ボーナス対応)で試算できます。

2. 社会保険料(4つの保険料)

会社員の給与からは、主に4種類の社会保険料が天引きされます。いずれも会社と従業員が半分ずつ負担する「労使折半」が基本です(雇用保険料のみ負担割合が異なります)。

健康保険料

病気やケガで病院にかかったときの医療費を3割負担で済ませてくれる制度の保険料です。会社員の多くは「協会けんぽ」または会社の健康保険組合に加入しており、保険料率は都道府県や組合によって異なります。健康保険には、産休中の出産手当金や、病気で働けないときの傷病手当金といった給付も含まれています。

介護保険料

40歳になると自動的に加入し、65歳になるまで徴収される保険料です。将来、介護が必要になったときにサービスを受けられる制度の財源になります。

厚生年金保険料

将来受け取る年金のための保険料で、全国一律の料率(18.3%、労使折半で本人負担は9.15%)です。標準報酬月額(おおむね給与額)に応じて金額が決まり、上限があります。

雇用保険料

失業したときの失業保険(基本手当)や、育休中の育児休業給付金の財源になる保険料です。他の3つと違い、本人負担分の割合は小さく設定されています。

3. 税金(所得税・住民税)

社会保険料を差し引いた後の金額に対して、所得税(国税)と住民税(地方税)がかかります。所得税は給与から毎月概算額が天引きされ(源泉徴収)、年末調整で1年分の正確な金額に精算されます。住民税は、前年1年間の所得をもとに計算され、翌年6月から1年かけて天引きされる仕組みです。そのため、社会人1年目は住民税がかからず、2年目の6月給与から急に手取りが減ったように感じる人が多いのは、この仕組みが理由です。

所得税・住民税には「基礎控除」「給与所得控除」「扶養控除」といった非課税の枠が用意されており、年収がある一定額を超えるまでは課税されません。この非課税の境目は「年収の壁」と呼ばれ、パート・アルバイトで働く方や、その配偶者・扶養に入る学生にとって特に重要なラインです。詳しくは年収の壁シミュレーターで、ご自身に関係する壁を確認できます。

4. 手取りを増やす合法的な工夫

給与そのものを増やす以外にも、制度を正しく使うことで実質的な負担を減らせる方法があります。たとえばふるさと納税は、実質2,000円の自己負担で応援したい自治体に寄付をしながら、税金の控除を受けられる制度です。また、副業をしている場合は確定申告・住民税申告が必要かどうかを正しく把握しておくことも、余計な延滞金などを避けるために重要です。

このサイト(はたらくお金ノート)では、ここで紹介した仕組みをもとにした無料の計算ツールを複数公開しています。ご自身の給与額を入力して、実際の手取りや壁までの距離を確認してみてください。